【収益事業】フォーラム・シンポジウムの開催にあたり留意すべき税務上のポイント!!

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普及啓発型の団体事業の一環として、日頃の活動報告や調査研究結果の発表・討論会を目的に、フォーラムやシンポジウムなどのイベントを開催することも少なくないと思います。

今回は、イベントの開催に関連して、留意すべき税務上のポイントを解説します。

フォーラム、シンポジウムとは

どちらも多数の登壇者や参加者を集め意見を交換する場という点において共通点があります。フォーラムが一般的にオープンで、多角的な視点で色んな議題について討論が行われるのに対して、シンポジウムはより限定的なテーマに特化して専門的な議論が行われるという点で違いがあります。

いずれにしても税務上の収益事業を判定する上では、名目上の定義よりもそこで何が行われるかが重要になります。

技芸教授業

フォーラムやシンポジウムの開催や運営に係る収入が収益事業に該当するかどうかは、そのイベントの内容が技芸教授業(法人税法施行令第5条1項30号)に該当するかどうかで判定します。

技芸教授業における技芸は、以下の22種類に限定列挙されており、これを教授するものが技芸教授業に該当します。

学術系のフォーラムやシンポジウムは一般的には技芸教授業に該当しません。
例えば、日本の伝統料理の普及を目的としたフォーラムやシンポジウムであれば、「料理」が22種類の技芸に含まれるため、その場合には技芸教授業として収益事業になる可能性があります。

したがって、そのイベントの内容が技芸教授業に該当するかしないかによって、収益事業の判定結果はかわってきます。

洋裁和裁着物着付け編物手芸料理理容美容茶道生花演劇
演芸舞踊舞踏音楽絵画書道写真工芸デザイン自動車操縦小型船舶

参加者から参加料を得る場合

フォーラム・シンポジウムの内容が技芸教授業に該当する場合・・・

収益事業に該当します。

フォーラム・シンポジウムの内容が技芸教授業に該当しない場合・・・

収益事業に該当しません。

協賛金を得る場合

フォーラム・シンポジウムを開催するにあたり、会員企業や取引先などから協賛金を受け取ることがあります。

フォーラム・シンポジウムの内容が技芸教授業に該当する場合・・・

収益事業に該当します。

フォーラム・シンポジウムの内容が技芸教授業に該当しない場合・・・

収益事業に該当しません。ただし以下の点について留意が必要です。

通常、協賛者は自社の広告宣伝を期待して協賛をすることが多いため、協賛者には①協賛スポンサーとしてイベント場内での社名の提示、②イベント会場での自社商品の展示やサービスの実演、などの特典が与えられることがあります。

①の場合の協賛金は、実質的に広告料ともとれそうですが、広告業は収益事業として列挙されている34業種(こちらの記事をご参考)のうちいずれにも該当しないため、それ単独では収益事業には該当しません。

②はイベント会場内にブースを設けて、そのブースで自社の商品やサービスを展示したりすることを想定しておりますが、そのような場合の協賛金は実質的には展示料として取り扱われ、34業種の席貸業になる可能性が高いと思われます。ただし、仮に席貸業に該当したとしても、以下の要件を満たす場合には、収益事業には該当しません。

法人がその主たる目的とする業務に関連して行う席貸業で、当該法人の会員その他これに準ずる者の用に供するためのもののうちその利用の対価の額が実費の範囲を超えないもの

法人税法施行令第5条1項14号ロ(4)

参加者へパンフレットを有償で販売する場合

フォーラム・シンポジウムの内容が技芸教授業に該当する場合・・・

収益事業に該当します。

フォーラム・シンポジウムの内容が技芸教授業に該当しない場合・・・

パンフレットが参加者以外の方にも広く一般に販売されているようなものは、出版業に該当する可能性があります。

まとめ

以上のとおり、フォーラムやシンポジウムの内容がまずは技芸教授業に該当するかどうかの検討が重要です。仮に技芸教授業に該当せずとも、協賛金やパンフレットなどの販売については別途収益事業の判定が必要になる場合がありますので、まずはどのような収入が見込まれているのかを事業計画の段階で洗いだしておくのが肝心です。