【決算公告】新人担当者必見!! いまさら聞けない公告方法について

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一般法人法128条1項および一般法人法199条では、定時社員総会・評議員会の終結後遅滞なく貸借対照表などの決算書を広告しなければならないと定められています。このことを決算公告と呼びますが、今回はこの決算公告について解説していきます。

【略称】
一般社団法人及び一般財団法人に関する法律・・・一般法人法

決算公告の方法は4種類ある。

公告方法は、定款に必ず定めなければならず(一般法人法第11条1項6号,第153条1項9号)、具体的な広告方法は4種類あります(一般法人法第331条1項)。このうちどれか1つの方法を定めることで足りますが、「官報及び電子公告」のように重畳的に定めることも可能です。しかし「官報又は電子公告」のように選択的に定めることはできません。

  1. 官報に掲載する方法
  2. 日刊新聞紙に掲載する方法
  3. 電子公告
  4. 主たる事務所の公衆の見やすい場所に掲示する方法

各方法別にメリットデメリットを説明していきます。

官報に掲載する方法

官報は、法令の公布など主に国に関する事項の公報等に用いられますが、法人の公告にも用いることができ、最も一般的な公告方法かと思われます。数万円のコストはかかりますが、以下のようなメリットがあります。

  1. 貸借対照表は要旨でよいこと(一般法人法128条2項,199条)
  2. 掲示はその時限りで済むこと
  3. ホームページ等を持っているときは電磁的開示で代替できること

※電磁的開示の方法により掲載された場合には、実際の官報への掲載は不要になります。ただし予めホームーページのURLの登記が必要であることと、掲示期間は電子公告と同じく5年間になります(一般法人法301条2項15号,302条2項13号,同法施行規則87)。

なお公告の種類である「電子公告」と、上記の大体手段である「電磁的開示」とは似て非なるものです。別の記事で両者の違いを解説していますので参考にしてください(【法人運営】決算公告における電子公告と電磁的開示の違いとは

日刊新聞紙に掲載する方法

メリットデメリットは「官報に掲載する方法」と基本的には同じですが、掲載のコストが官報よりも高いのであまり利用されていない印象です。

定款には「東京都において発行するA新聞に掲載する方法により行う。」などと定めることが一般的で、全国紙でなくてもよいと考えられています。コストが割高なのが難点ですが、地域によってはこの方法のほうが一般の人に見られやすいと思われます。

電子公告

ホームページに掲載する方法です(一般法人法施行規則第96条)。簡単に公告ができて、掲載自体のコストも安いと思われますが、5年間継続して掲示しておく必要があり、累積コストやメンテナンス等を考えると、場合によっては割高になることも考えられます。また官報や新聞での公告と異なり、貸借対照表は全文の掲載が必要になります。

ホームページのURLを登記する必要があるため、あらかじめ用意しておく必要があります。

主たる事務所の公衆の見やすい場所に掲示する方法

費用もかからず一番簡易な方法ですが、主たる事務所内で「容易に閲覧できる状態」になっていることが必要であり、1年間継続して掲示しておく必要があります(一般法人法施行規則第88条)。

「容易に」とありますので、一般的には事務所の入口付近に掲示することが望ましいと考えられていますが、主たる事務所がマンションや民家ですと難しいケースもあるかと思いますので留意が必要です。また官報や新聞での公告と異なり、貸借対照表は全文の掲載が必要になります。

公告を怠った場合には過料が課されるため要注意

公告を怠った場合には過料が課されますので、忘れないように決算手続きのスケジュールとして組み込んでおくのがよいでしょう。

まとめ(公告方法の比較)

どの公告方法が良いかは、法人ごとの判断になります。ここまで解説した公告方法の違いを表にまとめましたので、参考にしていただけたら幸いです。内閣府のFAQもご参照ください(内閣府Infomation:FAQ問1-3-10「公告方法」)

なお決算公告について官報以外の公告方法を選択しても、決算公告以外の債権者保護公告(合併や解散)は、必ず官報に掲載しなければなりませんのでご注意ください。また大規模法人については、貸借対照表のほか正味財産増減計算書の公告も必要になりますのであわせてご注意ください。

項目官報に掲載する方法日刊新聞紙に掲載する方法電子公告事務所に掲示する方法
公告の容易さ比較的容易比較的容易ホームページを持っていれば
容易
最も容易
掲載する費用数万円やや割高比較的割安なし
貸借対照表要旨で可要旨で可全文が必要全文が必要
掲載する期間一時的一時的5年間1年間
その他電磁的開示による代替あり(URLの登記が必要)電磁的開示による代替あり(URLの登記が必要)URLの登記が必要容易に閲覧できる状態が必要
電磁的開示によった場合には、要旨では足りず全文の掲示が必要となり、掲示期間は5年間になります。