【理事会】押さえておきたい機能と役割 | 社員総会・評議員会の違いとは!?

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社団法人と財団法人における理事会は法人の業務執行の意思決定を行う重要な機関です。法人の事業活動を行う上で、理事会に諮って承認決議を得たり、必要に応じてタイムリーな業務報告が欠かせません。

今回は、そもそも理事会とは何なのか、どのようなことを意思決定するのか、社員総会・評議員会との違いは何なのか、について解説します。

法人機関としての理事会の位置づけと職務権限

理事会の位置づけ

理事会とは法人の業務執行の意思決定機関であり、法人全体における位置づけとしては右の図のとおりです。それぞれの矢印は各機関に対する権限や義務を表しています。

理事会は社員総会で選任された理事で構成されており、実施する業務内容等を決議します。理事会で決議された内容に基づき、理事会で選ばれた代表理事や業務執行理事が業務を執行します。また監事や会計監査人から、団体運営が適切に行われているか、会計がきちんとされているかなどの監査を受ける立場にあります。

理事会の職務権限

理事会は法人の業務執行の意思決定機関であることを述べました。具体的には下記の事項についての職務権限を有しています(一般法人法90条2項)。

法人の業務執行の決定

理事会の権限として「法人の業務執行の決定」を有しており、法人運営全般についての意思決定を行うことができますが、定款や一般法人法において社員総会や評議員会で決議しなければならないとされている事項は、理事会が意思決定を行うことができません(一般法人法35条2項)。定款や一般法人法で定められた事項は、社員総会・評議員会の専決事項ですので、それ以外の事項について理事会で決定することとなります。

とはいいながらも、実際にはすべての業務執行の意思決定を行うために、逐一理事会を開いて意思決定を行うことは現実的ではありません。そこで、一定程度の裁量権を代表理事や業務執行理事に委任し、業務執行の意思決定が委ねられることになっています。

ただし何でもかんでも意思決定を委任できるわけではなく、次に掲げる事項については重要性の観点から各理事に委任することはできず、理事会での意思決定が必要です。

  • 重要な財産の処分及び譲受け
  • 多額の借財
  • 重要な使用人の選任及び解任
  • 従たる事務所その他の重要な組織の設置、変更及び廃止
  • 内部統制システムの整備
  • 理事等の損害賠償責任の免除

理事の職務の執行の監督

理事会はあくまでも業務執行の意思決定を行うのみであり、実際に業務を執行するのは、代表理事または業務執行理事です(一般法人法91条1項)。理事会は、これらの理事の業務執行が理事会・社員総会・評議員会での意思決定に基づいて適切に遂行されているかを監督する必要があります。

理事会による理事の職務執行の監督が適切になされるように、代表理事・業務執行理事は3ヵ月に1回以上の頻度で、理事会に対して職務執行の状況を報告することが義務付けられています(一般法人法91条2項)。なお定款で定めた場合には、事業年度内に4ヵ月を超える間隔で2回以上報告すればよいとされています(同2項)。

代表理事の選定及び解職

理事会は業務執行の意思決定を行うのみであることは前述したとおりです。そのため法人の業務執行を行うものとして、理事の中から代表理事または業務執行理事を選定します。それ以外のいわゆる役職のない平理事は業務の執行権限を有していません(一般法人法76条1項)。また理事会は職務執行が不適切であると判断した場合には、これらの者を解職することができます。

社員総会・評議員会との違い

上の図で示したとおり、社員総会・評議員会は、法人機関としては最高位に位置しています。イメージとしては株式会社でいうところの株主総会にあたります。

一見すると、法人の最高意思決定機関としてすべての意思決定を行うことができるようにも思われますが、理事会が設置されていない一般社団法人を除き、一般法人法で定められた事項と定款で定められた事項のみしか決議することができません(一般法人法35条2項,178条2項)。

一般法人法で定められた事項としては、具体的には以下のとおりです。

  • 定款変更(一般法人法146条)
  • 事業譲渡(一般法人法147条)
  • 解散(一般法人法148条1項3号)
  • 合併(一般法人法247条,251条1項,257条)
  • 役員等の選任・解任(一般法人法63条1項,70条1項)
  • 役員の報酬(一般法人法89条,105条1項)

つまり、定款変更を始めとして、法人の存続に関わるような重大な意思決定は、社員総会・評議員会の専決事項となり、それ以外の法人の業務執行の決定等は理事会の決議事項として定めています。これは理事会が専門的な能力を有する理事から構成されているという前提のもと、法人運営を行う上では、理事会に権限分配をした方が、機動的な法人運営が可能となることを期待しているからです。

以上のとおり、理事会との違いとしては、社員総会・評議員会は、法人の存続に関わる重大な意思決定を行うのみであり、最高意思決定機関ではありながらも一定の制限があるという違いあります。

おわりに

理事会の機能と役割について、社員総会・評議員会との違いも含め、少しでもイメージがついたでしょうか。一般法人法では理事会について細かく規定されていますが、実務担当者として大事なことは、新しく何かをはじめるときや、今までのやり方を変えるときなどは、とりあえず理事会に諮るかどうかということを念頭においていただければと思います。