措置法40条とは?公益法人等への不動産・株式等の寄附で知っておきたい税金の特例!!

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「公益法人に不動産を寄附したい」

「保有している株式や投資信託を公益活動に役立ててもらいたい」

このような場合に、ぜひ知っておきたい制度が「租税特別措置法第40条(措置法40条)」です。

措置法40条は、簡単にいうと、個人が公益法人などに不動産や株式などの財産を寄附した場合に、本来発生する譲渡所得への課税を、一定の要件のもとで非課税にする制度です。

「寄附なのに、そもそもなぜ譲渡所得が発生するの?」と思われる方も多いでしょう。

今回は、措置法40条について初めて知る方にも分かるように、制度の基本から解説します。

不動産や株式などの現物資産を法人に寄附すると税金がかかる?

まず押さえておきたいのが、個人が法人に現物財産を寄附した場合の税金のルールです。

例えば、次のような土地があったとします。

  • 昔1,000万円で購入した土地
  • 現在の時価は5,000万円

この土地を5,000万円で売却したのであれば、値上がりした部分(つまり儲けの部分)について譲渡所得として税金が生じることはイメージしやすいと思います。

では、この土地を公益法人等に無償で寄附した場合はどうでしょうか。

お金を受け取っていないので、「所得は発生しない」と思われるかもしれません。

しかし、税務上はそうではありません。

個人が土地、建物、株式などの財産を法人に寄附した場合には、原則として、その財産を寄附したときの時価で譲渡したものとみなされます。

これを一般に「みなし譲渡課税」といいます。

したがって、

取得価額 1,000万円
寄附時の時価 5,000万円

という土地であれば、実際には5,000万円を受け取っていなくても、税務上は時価5,000万円で譲渡したものとして譲渡所得を計算することになります。

国税庁も、個人が土地、建物、株式などを法人に寄附した場合には、寄附時の時価による譲渡があったものとみなして所得税を課税することを原則としています。

なぜこのような仕組みになっているのかというと、法人への無償・低額での資産移転によって、個人が保有している資産の含み益に対する課税が回避されることを防ぐために設けられています。寄付者としては善意の寄付にもかかわらず、税金が発生してしまうという何とも酷な制度なのです。

そこで登場するのが「措置法40条」

公益のために財産を寄附したにもかかわらず、多額の譲渡所得税が発生するとなると、財産の寄附をためらってしまうかもしれません。

そこで設けられているのが、租税特別措置法第40条の非課税制度です。

一定の公益法人等に土地や株式などを寄附し、所定の要件を満たして国税庁長官の承認を受けた場合には、先ほど説明した「みなし譲渡」による譲渡所得を非課税とすることができます。

つまり、

「公益目的で財産を寄附するのであれば、一定の条件のもとで、その財産の含み益に対する所得税を課税しないようにしましょう」

という制度です。

これが措置法40条の基本的な考え方です。

どんな財産が対象になる?

典型的なものとしては、

  • 土地
  • 建物
  • 株式や投資信託などの有価証券
  • 金地金

といった、値上がりによって譲渡所得が生じる財産が対象になります。

特に、先祖から引き継いだ土地や、長年保有して大きく値上がりした株式などは、取得価額と現在の時価との差額が大きくなっていることがありますので、そのような財産を公益法人に寄附する場合には、措置法40条の検討が重要になります。

公益法人に寄附すれば自動的に非課税になるわけではない

ここは特に注意が必要です。

公益法人に寄附したからといって、すべての寄附について自動的に措置法40条が適用されるわけではありません。

原則として、国税庁長官の承認を受ける必要があります。

また、寄附した財産についても、例えば寄附の日から2年以内に公益法人等の公益目的事業のために直接使用されることなど、一定の要件があります。

つまり、

「寄附先が公益法人だから大丈夫」

というだけではなく、

「誰が、どの法人に、何を寄附するのか」

「その財産を寄附後にどのように使用するのか」

まで確認する必要があります。

申請には期限があるためスケジュールには要注意

措置法40条の適用を受ける場合には、「租税特別措置法第40条の規定による承認申請書」を提出する必要があり、原則として寄附の日から4か月以内に申請する必要があります。

ここで注意が必要なのが、この寄付の日というのは、理事会など権限ある期間において、その受け入れの決議をした日とされています。実際に名義変更などをした日ではないため注意が必要です。名義変更の日から起算してスケジュールを組んでいた場合には、措置法40条の申請期限切れになってしまうということが起こりえます。

なお11月16日から12月31日までに寄附した場合には、寄附をした年分の所得税の確定申告期限までが提出期限となりますので、こちらもご留意ください。

この申請には、寄附を受ける公益法人側で準備する資料も必要となります。

そのため、「先に寄附して、後から税金のことを考えればいい」という進め方はおすすめできません。

財産を実際に寄附する前から、措置法40条の適用可能性を検討しておくことが重要です。管轄の税務署にて事前相談することも可能です。

措置法40条には「一般特例」と「承認特例」がある

措置法40条には、大きく分けて「一般特例」と「承認特例」があります。

それぞれ対象となる法人や承認要件、必要書類などが異なりますので、実際の適用を検討するときには、寄附先の法人の種類や財産の内容に応じて詳しく確認することが必要です。

承認を受けた後も注意が必要

措置法40条は、承認を受ければそれですべて終了、という制度でもありません。

例えば、寄附した財産が予定どおり公益目的事業に使用されなかった場合などには、承認が取り消されることがあります。

国税庁は、寄附の日から2年以内に公益目的事業に直接使用されなかった場合や、いったん公益目的事業に使用したものの、その後使用しなくなった場合などには、承認が取り消され、寄附者や寄附を受けた公益法人等に所得税が課税される場合があるとしています。

そのため、寄附を受ける公益法人側にとっても、「寄附を受けた後、この財産をどう使うのか」という点は非常に重要です。公益法人側のガバナンス面を整えることも必要になります。

「寄附金控除」とは別の制度

措置法40条について説明すると、よく混同されるのが「寄附金控除」です。

この2つはまったく別の制度です。

寄附金控除は、公益法人などに寄附した金額について、寄附者の所得税を軽減する制度です。

これに対して措置法40条は、不動産や株式などに含まれている値上がり益について、本来発生する「みなし譲渡課税」を非課税にする制度です。

例えば、値上がりした株式を公益法人へ寄附した場合には、「株式を寄附したことによるみなし譲渡課税」と「公益法人へ寄附したことによる寄附金控除」は、それぞれ別の税務上の論点になります。

まとめ

措置法40条を簡単に整理すると、次のようになります。

個人が不動産や株式を法人に寄附すると、原則として時価で譲渡したものとみなされ、譲渡所得税が発生します。

しかし、

公益法人等への寄附で一定の要件を満たし、国税庁長官の承認を受けた場合には、その譲渡所得を非課税にできる制度が措置法40条です。

一方で、措置法40条の申請には期限があり、寄附後の財産の使用方法などについても要件があります。

そのため、不動産や株式などの現物資産の寄附を検討する場合には、寄附を実行してから税務処理を考えるのではなく、寄附を実行する前の段階から制度の適用可否を確認しておくことが重要です。現物資産の受け入れは公益法人側にも負担になりますので、そもそも公益法人側で現物資産の寄付を受け入れられるかどうかの確認も非常に重要です。

清塚樹税理士事務所では、措置法40条の申請手続きを承りますのでお気軽にご相談くださいませ。手続報酬としては、対象となる財産の種類や規模、その他難易度に応じてケースバイケースですが、非課税により安くなる税金の金額に1~10%の料率を乗じてお見積りをさせていただいております。公益法人側での受け入れサポートも対応可能ですので、公益法人の方からのご相談もお待ちしております。