【相続手続き】遺言書の作り方は?種類・必要な準備・注意点を初心者向けにわかりやすく解説!!

「自分が亡くなった後、家族が相続でもめないように遺言書を作っておきたい」
そう考えていても、何から始めればよいのかわからない方は多いのではないでしょうか。
遺言書というと、特別な財産を持っている人が作るものというイメージがあるかもしれません。
しかし、遺言書は財産の多い少ないにかかわらず、自分の意思を家族に残すための大切な手段です。
また、遺言書は自分で作成することもできますが、法律で決められたルールを守らなければ無効になる場合があります。
今回は、遺言書の基本的な種類から、作成前に準備すること、書き方や保管方法、注意点まで、初めての方にもわかりやすく解説します。
目次
遺言書とは?何のために作るの?
遺言書とは、自分が亡くなった後の財産の引き継ぎ方などについて、意思を残しておくための書類です。
例えば、次のような希望がある場合に活用できます。
- 自宅は一緒に暮らしている配偶者に相続させたい
- 預貯金は子どもたちに分けて相続させたい
- 特定の財産を孫に渡したい
- お世話になった人に財産を遺贈したい
遺言書がない場合、相続人全員で遺産分割協議を行い、財産の分け方を決めることが一般的です。
一方、有効な遺言書がある場合には、原則としてその内容に従って財産を引き継ぐことになります。
遺言書を作成しておくことで、自分の希望を明確にし、相続人同士の話し合いによる負担やトラブルを減らせる可能性があります。
ただし、遺言書があれば必ず相続争いを防げるというわけではありません。財産の分け方や記載内容によっては、かえってトラブルにつながることもあります。
遺言書は誰でも作れる?
遺言書は、原則として15歳以上で、遺言をする能力があれば作成できます。
成人している必要はなく、必ずしも専門家に依頼しなければならないわけでもありません。
また、遺言書を作るのは高齢になってからでなければならない、という決まりもありません。
例えば、子どもがいない夫婦や、特定の相続人に自宅を引き継いでほしいと考えている方なども、早めに遺言書の作成を検討する意味があります。
なお、遺言書は一度作ったら変更できないものではありません。
法律で定められた方法により、後から内容を変更したり、撤回したりすることもできます。
遺言書にはどんな種類がある?
遺言書にはいくつかの種類がありますが、一般的によく利用されるのは、次の2つです。
① 自筆証書遺言
② 公正証書遺言
それぞれの特徴を見ていきましょう。
① 自筆証書遺言
自筆証書遺言とは、遺言をする本人が自分で書いて作成する遺言書です。
基本的には、遺言書の本文、作成日付、氏名を本人が自筆で記載し、押印する必要があります。
なお、財産目録については、一定の要件を満たせばパソコンで作成したものや通帳のコピーなどを添付することもできます。その場合、財産目録の各ページに署名と押印が必要です。
メリット
- 自分で作成できる
- 作成自体に費用がかからない
- 思い立ったときに作成しやすい
デメリット
- 書き方に不備があると無効になる場合がある
- 自宅で保管すると紛失や発見されないリスクがある
- 内容が不明確だと相続人間でトラブルになる可能性がある
自筆証書遺言は手軽に作成できますが、法律で定められた方式を守ることが重要です。
② 公正証書遺言
公正証書遺言とは、公証人が法律で定められた手続きに従って作成する遺言書です。
原則として、証人2人以上の立会いが必要になります。
公証人が関与するため、方式の不備によって遺言書が無効になるリスクを抑えられることが特徴です。
メリット
- 公証人が関与するため、方式の不備が生じにくい
- 原本が公証役場で保管される
- 相続開始後、家庭裁判所の検認が不要
デメリット
- 財産の価額などに応じた手数料がかかる
- 証人2人以上が必要
- 公証人との事前の打ち合わせや準備が必要
自筆証書遺言と公正証書遺言には、それぞれメリットとデメリットがあります。
| 比較項目 | 自筆証書遺言 | 公正証書遺言 |
|---|---|---|
| 作成方法 | 原則として本人が自筆で作成 | 公証人が作成 |
| 費用 | 自分で作成する場合は原則無料 | 公証人の手数料などが必要 |
| 証人 | 不要 | 原則2人以上必要 |
| 保管方法 | 自宅や法務局など | 原本は公証役場で保管 |
| 検認 | 原則必要。ただし法務局保管制度を利用した場合は不要 | 不要 |
※表は一般的な取扱いをまとめたものです。

遺言書を作る前に準備すること
遺言書を書き始める前に、まずは相続人や財産の状況を整理しておきましょう。
① 誰が相続人になるのか確認する
最初に確認したいのは、自分が亡くなった場合に誰が相続人になるのかということです。
例えば、配偶者と子どもがいる場合には、原則として配偶者と子どもが相続人になります。
一方、子どもがいない場合には、父母や兄弟姉妹などが相続人になることもあります。
相続人の構成によって、財産の分け方や注意すべき点が変わるため、事前に確認しておくことが大切です。
② 財産を一覧にする
次に、自分が所有している財産を整理します。
例えば、次のようなものです。
- 土地や建物などの不動産
- 銀行預金や現金
- 株式や投資信託などの有価証券
- 自動車などの財産
- 借入金などの債務
財産を整理しておくことで、誰に何を引き継いでもらうかを考えやすくなります。
また、遺言書に財産を書き漏らしてしまうことを防ぐためにも役立ちます。
③ 誰にどの財産を渡したいか考える
相続人と財産を確認したら、具体的な分け方を考えます。
例えば、
「自宅は配偶者に相続させる」
「A銀行の預金は長男に相続させる」
「B銀行の預金は次男に相続させる」
といった内容です。
ここで大切なのは、財産を取得する人だけでなく、取得しない人への影響も考えることです。
特定の相続人に財産が集中する場合には、遺留分などの問題が生じる可能性もあります。
自筆証書遺言には何を書けばいい?
自筆証書遺言を作成する場合には、法律で定められた方式を守る必要があります。
例えば、次のような簡単な内容が考えられます。
【遺言書の記載例】
遺言書
第1条 遺言者は、遺言者が所有する下記の不動産を長男〇〇に相続させる。
(土地・建物の表示)
第2条 遺言者は、〇〇銀行〇〇支店の普通預金を次男〇〇に相続させる。
第3条 遺言者は、遺言執行者として長男〇〇を指定する。
令和〇年〇月〇日
住所 〇〇県〇〇市〇〇
遺言者 〇〇〇〇 印
※これは説明用の簡略化した例です。実際には不動産の登記情報や口座情報、相続人の特定方法などを適切に記載する必要があります。
また、日付を「〇年〇月吉日」とするなど、作成日を特定できない書き方は避ける必要があります。
本文をパソコンで作成して印刷し、署名と押印だけをする方法では、原則として有効な自筆証書遺言にはなりません。
財産目録に認められている例外と混同しないようにしましょう。
遺言書を作るときの注意点
遺言書を作成する際には、次のような点にも注意しましょう。
① 遺留分に配慮する
遺留分とは、一定の相続人に法律上保障されている、最低限の遺産取得に関する権利です。
例えば、「全財産を長男に相続させる」という遺言書を作成した場合、ほかの相続人から遺留分侵害額請求を受ける可能性があります。
遺言書の内容が有効であっても、遺留分の問題が生じないとは限りません。
[関連ブログ:遺留分を請求されたらどうする?支払い方法と注意点をわかりやすく解説!!]
② 財産の書き漏らしに注意する
遺言書に記載されていない財産が見つかった場合には、その財産について別途遺産分割協議が必要になることがあります。
例えば、遺言書の作成後に新しい銀行口座を開設した場合などです。
そのため、財産を整理するとともに、遺言書に記載していない財産の取扱いについても考えておくとよいでしょう。
③ 遺言執行者の指定を検討する
遺言執行者とは、遺言書の内容を実現するために必要な手続きを行う人です。
遺言書で遺言執行者を指定しておくと、相続開始後の手続きが進めやすくなる場合があります。
ただし、すべての遺言書で遺言執行者の指定が必須というわけではありません。
④ 相続税への影響も考える
遺言書は、財産の分け方だけでなく、相続税の負担にも関係します。
例えば、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例などは、誰が財産を取得するかによって適用関係が変わる場合があります。
また、相続税を納めるための現金が十分にあるかどうかも重要です。
遺言書を作成するときには、財産の分け方だけでなく、相続税や納税資金についても考えておくことが大切です。

作成した遺言書はどこに保管する?
遺言書を作成した後は、保管方法も重要になります。
自筆証書遺言を自宅で保管する場合、紛失したり、相続人に発見されなかったりする可能性があります。
そこで、自筆証書遺言については、法務局の**「自筆証書遺言書保管制度」**を利用する方法もあります。
この制度では、一定の要件を満たした自筆証書遺言を法務局で保管してもらうことができます。
また、法務局で保管された遺言書については、相続開始後の家庭裁判所による検認が不要になります。
ただし、法務局の保管制度は、遺言書の内容が法律的に有効であることまで保証する制度ではありません。
一方、公正証書遺言は原本が公証役場で保管されます。
それぞれの特徴を理解し、自分に合った方法を選びましょう。
遺言書は一度作ったら変更できない?
遺言書は、作成した後でも変更や撤回ができます。
例えば、遺言書を作成した後に、
- 財産を売却した
- 新しい財産を取得した
- 家族構成が変わった
- 財産を渡したい相手が変わった
といったことがあるかもしれません。
そのような場合には、遺言書の内容を見直すことが大切です。
なお、遺言書が複数存在し、内容が抵触している場合には、原則として後の遺言が優先される部分があります。
ただし、後の遺言書が前の遺言書の内容をすべて無効にするとは限りません。
変更や撤回をする際にも、法律で定められた方式を守る必要があります。
まとめ
遺言書は、自分が亡くなった後の財産の引き継ぎ方について、意思を残すための大切な書類です。
一般的によく利用されるのは、自筆証書遺言と公正証書遺言の2種類で、それぞれ作成方法や費用、保管方法などが異なります。
初めて遺言書を作成する場合には、まず相続人と財産を整理し、誰にどの財産を引き継いでもらいたいのかを考えるところから始めましょう。
また、遺言書は法律で定められた方式を守ることに加えて、遺留分や相続税への影響にも配慮して作成することが大切です。
財産の内容や家族の状況によっては、専門家に相談しながら作成することも検討しましょう。


